海外視察報告書デジタルカタログ
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15 【中正紀念堂】 1980年に竣工した。設計は今回宿泊した圓中正紀念堂は中華民国の元総統蒋介石を記念して建てられた。敷地は、清朝・日本統治時代ともに軍が使用していた軍用地跡地で、総敷地面積は約25万㎡。1975年に蒋介石が他界、その翌年に着工が始まり山大飯店と同じく楊卓成氏。メインの紀念堂を主峰に見立て、国家戯劇院、国家音楽廳が左右に配されている。紀念堂には国旗のメインカラーである青と白の二色が用いられ、また紀念堂の頂上部には国民党の党徽である天穹(大空)の裝飾が施されている。中正紀念堂のシンボルともいえる八角形の屋根は、「忠、孝、仁、愛、信、義、和、平」という孫文が唱えた八徳を表している。因みに「中正」とは蒋介石の本名。 民進党政権下での台湾正名運動の影響で、2007年には「中正紀念堂」は「台湾民主紀念館」に改名され、入り口の門に書かれた「大中至正」の扁額は「自由広場」に架け替えられ、儀仗隊交代式が中止していた時期がある。国民党が政権復帰した2009年に再び元の「中正紀念堂」に戻ったが正門の扁額は「自由広場」とそのまま残されている。 シンボルともいえる蒋介石の石像が置かれている正面中央の本堂では、毎日儀仗隊交代式が行われる。午前6時30分に儀仗隊が中正紀念堂に進駐し、午前9時より警護及び毎時交代儀式が行われるのである。そんな衛兵交代式が行われる蒋介石の巨大ブロンズ像の高さは6.3m。この銅像は蒋介石の故郷であり最期まで帰国が叶わなかった中国大陸の方向を向いて座っている。また銅像前の階段は合計で89段、これは蒋介石の享年89歳を示しているとのこと。銅像上部には、蒋介石が掲げた「倫理・民主・科学」の理念が、土台には蒋介石の遺言がそれぞれ記されている。 当日の見学は17時前で1日の最後の交代式の時間。厳粛な雰囲気の中、儀仗隊が微動だにせず直立不動で警備を行い、その後儀仗隊が一糸乱れぬ姿で全員本堂から行進して退出するという1日最後の儀式であるが故の貴重な光景を見学することが出来た。

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