海外視察報告書デジタルカタログ
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17 加盟するときも軍事侵攻の可能性がある。もう一つ可能性があるとすれば、中国がアメリカに戦争で圧勝できると確信した時ではないか。 台湾有事が起きた時に日本人はどうするのか。(公財)日本台湾交流協会は一般論として、台湾有事が起き邦人の退避が発生する場合は、まずは極力、商業定期便が利用可能なうちに在留邦人の出国あるいは安全な場所への移動の確保に努めることになると回答している。問題なのは商業定期便が利用可能なうちというのをどう判断するか。いつ飛行機が飛ばなくなるのかわからないのでありこの点が大きな悩みである。宮崎氏はもう少し具体的に方針を示してあげるべきと解説した。 台湾では最近中国から軍事的圧力の他に経済的圧力を受けている。具体的には2021年頃から台湾の農産物や水産物の中国への輸出が禁じられた。特に民進党政権になってからその動きが顕著である。っ中国と会話が出来るのは国民党であり国民党でなければ輸出が出来ないといった風潮があるのだ。 もうひとつの圧力としてあげるのは認知作戦。統一工作とも呼ばれる。これは軍事的圧力よりも怖いと言われている。現代の戦争はハイブリッド戦と言われるが軍事的圧力と同時に目に見えない認知戦が行われている。孫子の兵法、つまり戦わずして勝つというために様々な情報戦が仕掛けられているのだ。宮崎氏は最近の取材の話として、書籍をオンラインで購入した若い女性に対して、購入した本屋を名乗る人かニュースがよく流れている。先日行われた軍事演習が蔡英文総統が逃げ出すための訓練であったと言ったニュースが流れたり、台湾の近くに中国の軍隊が来ていると言った情報がSNSで流れたりしている。こういった情報が流れることで中国がすごく強いと思わせているのだ。つまり戦わずして勝つということ。また台湾の治安が悪いというフェイクニュースも多く、これは台湾当局に対する信頼度を失わせる効果があるのだ。 最後に宮崎氏は「台湾の安全保障は軍事・経済・情報の3つの観点から考える必要があり、今後も特に中国の動向には留意していかなければならない」と述べ講話を締め括った。 らの電話で感想を尋ねられるとともに中国の考えを一方的に伝えられた事例を紹介。実際は台湾の本屋からの電話ではなく中国本土からかかってきた電話で中国統一工作の一環であった。また台北の小学校の合唱団が作ったミュージックビデオが中国本土のテレビ局で放映され、中国統一といったメッセージに変わってしまった例。小学校の課外活動でさえ中国の手が忍び寄っている現実があるのだ。また台湾では中国の影響を受けたフェイク

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